高専から大学編入|知りたかった編入学に関する情報まとめ

高専のこと

初めまして。Hurariと申します。

本記事では「高専からの大学編入に関する情報」をまとめてご紹介します。

高専卒業後の進路に悩んでいる学生の皆さん、ぜひご参考になさってください。

この記事におすすめの方

  • 大学編入を考え始めた高専生の方・保護者の方
  • 就職か進学かの進路に迷っている方
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高専とは?

まず、そもそも「高専についてあまり詳しくない」という方向けに、簡単に「高専とはどんな学校か」をご紹介します。

「大学編入に関する情報」のみを知りたいという方は、こちらからスキップください。

高専の概要

高専は1962年に設立され、現在では全国に51校55キャンパスの国立高等専門学校があります。

高専の主な特徴は「5年間で工学などの専門教育が受けられること」です。

主に中学校卒業程度を入学資格とし、修業年限5年(商船学科のみ5年6か月)間の課程のもと、主に工学・技術・商船系の専門教育を施すことによって、実践的技術者を養成することを目的にした教育機関である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/高等専門学校

そのため、「理系志望」「プログラミングに興味がある」といった学生が多数在籍しています。

最近では、2023年4月に徳島県で「神山まるごと高等専門学校」という私立高等専門学校が設立されました。

ちなみに国内では19年ぶりの新設校だそうで、現役の起業家を招くなど、新しい試みが話題です。

「高専の学費や入試情報」などは下記記事をご参考ください。

高専の就職・進学実績

卒業後の進路は、約60%の学生が就職、残りの約40%が進学を選択します。

進学について着目すると、大学編入を選択する学生は22%、専攻科へ進学する学生が17%です。

専攻科とは「高専本科(1〜5年)に加えて、さらに2年間高度な技術教育を行うことを目的として設立された課程」のこと。

普通高校の約65%の学生が大学に進学するのに対して、高専生は約20%が大学編入を選択することが分かりました。

ここから本題の「高専の大学編入」に関する情報をご紹介していきます!

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大学編入の主な進学先

高専からの大学編入で、特に編入学者数の多い大学TOP10がこちらです。

ランキング大学名H30年度実績R1年度実績合計(H30+R1)
1豊橋技術科学大学336341677
2長岡技術科学大学310289599
3東京農工大学6364127
4九州工業大学5862120
5千葉大学5451105
6新潟大学4855103
7九州大学415596
8熊本大学474390
9筑波大学434487
10室蘭工業大学363874
出典:独立行政法人 国立高等専門学校機構「大学への編入学状況」

「技術科学大学」への編入者数が圧倒的に多いです。

技術科学大学は、高等専門学校の卒業者等を第3学年に、定員の過半数として受け入れることを目的とした国立大学

また、技術科学大学は国内で2校あり、それぞれ「新潟県」と「愛知県」にキャンパスがあります。

技科大についての詳細は、こちらの記事をご覧下さい。

技術科学大学以外では、地方国立大学への入学者が多く、九州大学といった旧帝大への編入学も実績があります。

一般的に最難関大学といわれる大学への、高専からの編入学実績は下記です。

大学名H30年度実績R1年度実績合計(H30+R1)
東京大学201636
京都大学
大阪大学333265
北海道大学303161
東北大学313364
名古屋大学191736
九州大学415596
東京工業大学333265
出典:独立行政法人 国立高等専門学校機構「大学への編入学状況」
※「ー」はデータ無しを意味する

このように高専からの大学編入では、技術科学大学への編入実績が突出して高く、地方国立大学や旧帝大へ編入する学生も多いことが分かります。

ランキングの詳細についてもっと詳しく見たい方は、こちらをご参考ください。

ここからは、「大学編入の試験日程や特徴」についてご説明します。

高専からの大学編入の特徴

はじめに、大学編入の特徴をまとめます。

  1. 推薦入試は6〜7月頃に実施
  2. 一般入試は8〜9月頃に実施
  3. 募集定員の数は「若干名募集」の場合が多い
  4. 編入試験は何校でも受験が可能

各内容について、詳しく説明します。

推薦入試:6〜7月頃

推薦入試は6〜7月頃を中心に実施されます。

ただし、大学によっては推薦での大学編入を実施していないところもあります。

主に旧帝大は推薦による大学編入を実施していません。

  • 東京大学
  • 京都大学
  • 筑波大学
  • 広島大学 など

詳しくは各大学のHPをご確認ください。

推薦入試のメリットは「筆記試験をパスできる」ことです。

基本的には「書類選考」「面接(口頭試問も含む)」の2つで合否判定がされます。

推薦枠を獲得するには「成績が上位○%以上の者」というような成績基準を満たす必要があります。

高専によって「上位◯%」の基準がやや異なりますが、成績が上位であることが必須です。

また、この成績基準は「高専1〜4年」までの全期間なのか、「高専4年次」のみの期間の評価なのか、高専によって考え方が異なるため注意が必要です。

「友人・先輩」や「進路相談室」などで確認することをオススメします。

一般入試:8〜9月頃

一般入試は8〜9月頃を中心に実施されます。

推薦入試を実施していない大学へ編入するには、一般入試がマストです。

一般入試は「書類選考」「筆記試験」「面接」で合否判定されます。

大学編入の筆記試験では、「数学」「英語」「物理」「専門科目」といった理系科目のみが出題されるケースがほとんどのため、センター試験とは異なります。

また、大学によっては「TOEIC」などのスコア提出が必要になります。

  • 筑波大学
  • 名古屋大学
  • 金沢大学 など

英語が苦手な方は、早めからTOEICの勉強をしておくのが最善です。

大学編入の募集人数

大学編入の募集人数は「若干名募集」と曖昧なところが多いです。

例えば、岡山大学の場合では「募集人数30人」と明記されています。

一方、東北大学の場合「若干人」と記載されています。

このように定員数ではなく、学校が基準とする合格ラインに到達できるかどうかが合格に関わる場合もあります。

場合によっては、合格ラインが例年よりも高く設定され、想定よりも厳しい受験になる可能性もあります。

どれくらいの倍率なのか目安を知りたい場合は、過去の編入学者数の実績から概算するのが良いでしょう。

編入試験は何校でも受験可能

大学編入試験は何校でも受験が可能です。

※推薦の場合は、推薦合格した大学に行く必要があります。

一般的に、高校から国公立大学へ受験する場合は、「前期・後期日程」合わせて2校までが通常です。

しかし、大学編入試験の場合は、日程が重ならない限り何校でも受験が可能です。

例えば、先ほどの例の「岡山大学」「東北大学」の試験日程は下記のため、両校受験することが可能です。

  • 岡山大学:6月17日
  • 東北大学:8月22日〜8月23日

    ※2024年4月入学の編入学情報より

大学編入を選択する理由

次に、「なぜ就職率100%の高専で大学編入を選択するのか」についてご紹介します。

大学編入を選択する主な理由(メリット)は下記です。

  1. 希望の職能要件が「大卒以上」のため
  2. 複数校の編入受験が可能でリスクが小さい
  3. 大学でやりたい研究や文系科目の勉強がしたい
  4. 大学で人脈を広げたい
  5. 大学生活を送りたい

それぞれ具体的に説明します。

希望の職能要件が「大卒以上」

高専を卒業すると、学位としては「準学士」が得られます。(※短期大学卒と同等)

しかし、就職活動をいざ始めようとすると、応募資格で「大卒以上」といった条件をよく見ます。

そうなると「研究開発職に就きたい」といったようなことが高専卒では実現困難なため、大学編入を選択する学生が一定数いるわけです。

複数校の編入受験が可能でリスク小

大学編入の特徴の1つが「複数校受験が可能である」ことです。

そのため、「A大学がダメだった場合にはB大学を」というように、何度も挑戦することができるため、一般的な高校からの大学受験と比べて、大学受験のリスクが小さいです。

これが、大学編入に挑戦する学生が多い理由の1つだと思います。

ただし、勉強しなくても数を打てば合格できるというわけでは決してないため、ご注意ください。

大学でやりたい研究がある

高専と比べて、大学ではより最先端の研究を推進していることが多いです。

下記は筆者調べの「研究機関種別の科研費の配分」の結果です。

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究費」であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。

「科学研究費助成事業 | 日本学術振興会」https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/

簡単のため、「配分額(合計)を研究登録者人数で割った額」で比較すると、「国立大学」と比べて「短期大学、高等専門学校」では1/10程度の額になります。

研究機関種別研究者登録人数応募件数採択件数応募額配分額
(直接経費)
配分額
(間接経費)
配分額
(合計)
配分額(合計)
/ 研究者登録人数
国立大学85,41373,73342,690283,848,580105,597,10931,679,133137,276,2421,607.2
公立大学20,16812,2836,56127,971,9309,386,7002,816,01012,202,710605.1
私立大学127,13048,56525,244106,291,82133,989,28210,196,78544,186,067347.6
短期大学
高等専門学校
10,9863,8081,3276,975,0521,374,600412,3801,786,980162.7
単位:千円
出典:文部科学省「令和3年度科学研究費助成事業の配分について」p.29
リンク:https://www.mext.go.jp/content/20220124_mxt_gakjokik_000019825_1.pdf
※筆者調べによりデータを一部抜粋

そのため、「最先端の研究がしたい」といった、やりたいことが明確で大学編入を選択する学生も多いです。

また、大学に編入すると自分でカリキュラムを組むため、自身の専攻以外の文系科目も勉強できる点がメリットです。

人脈を広げたい

大学は高専と比べて規模が大きいため、人との出会いが多くなります。

また、文系・理系と学部も多様なため、色々な価値観を持った人と交流できるのがメリットです。

高専は基本的に理系の人材がメインのため、同じような価値観の人が多い印象も少なからずあります。

そのため、人脈を広げるという意味でも大学編入という選択は魅力の1つです。

大学生活を送りたい

工学系ということもあり、多くの高専で男女比が偏っています。

そのため、「青春を送りたい」という意味で大学に編入する人もいると思います。

サークル活動や恋愛なども含めて、理想の大学生活を送るために大学編入を選択するのもありですね。

ただし、大学編入後は単位の取得が大変になります。

ゆとりのある大学生活を送るためにも、「単位認定」に気を付けてください。

大学編入試験に向けて

さいごに、大学編入試験に向けて「編入勉強の私の実体験」をご紹介します。

いつから編入試験勉強を始める?

私の場合、高専4年生の4月頃から試験勉強を始めました。

私の周りやネットで調べてみても、多くの方がこの時期から勉強を始めているようです。

毎日の勉強時間の参考までに、私は平日では5時間ほど、休日ではピークで12時間ほど勉強をしていました。

受験勉強の時期に気を付けていたことなどは、下記記事をご参考ください。

編入試験の過去問

編入試験は、過去問の入手が合格への第一歩につながります。

また、大学によってはHPから過去問の入手が可能になっています。

HPから入手ができない場合も、学校の進路相談室で入手が可能だったりするので要チェックです。

過去問と回答の入手方法については、下記記事をご覧ください。

大学編入試験の参考書

私が活用した参考書の一例が下記です。

  • 編入数学徹底研究
  • 数学/徹底演習
  • ポレポレ英文読解プロセス
  • 名門の森 など

どれも本当におすすめの参考書です。大学編入勉強をこれから始めるという方も、ぜひ手にとってみてください。

他にも「これを押さえておけば安心!」という参考書があるので、ぜひこちらの記事をご参考になさってください。

大学編入に関する情報まとめ

いかがでしたでしょうか。

大学編入に関する情報をまとめると下記です。

  1. 技術科学大学への編入学者が多い
  2. 推薦入試は6〜7月頃、一般入試は8〜9月頃に実施
  3. 募集定員の数は「若干名募集」の場合が多い
  4. 試験は何校でも受験可能
  5. 編入試験勉強は高専4年の春頃からスタート
  6. 編入の過去問は高専HPなどから入手できる

高専からの大学編入は情報が少ないため、まずはご自身が目指す大学の編入情報収集が大切です。

友達や先輩、進路相談室などを上手に活用して「理想の大学生活」が送れるように頑張ってください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人
Hurari

音楽、旅行、DIY、筋トレが趣味のHurariです。
これまでにアジア8ヵ国を旅しています。

いつかは世界一周クルーズ旅をしたい!

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